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メタハラの必要性について
ハ虫類専用メタハラの誕生
様々なメタルハライドランプが現在では販売されていますが、未だにあまり理解されていないのもこのメタルハライドランプ(メタハラ)です。ハ虫類の飼育には必要な器具である事は知っていても何がどれだけいいのかと言う事があまりショップでは語られません。
このメタルハライドランプのハ虫類用の開発に10年以上前から興味を持ち、現エムズワン社長(当時はタケダ株式会社)と生体に対する影響や器具としての効果など色々な角度で考えてきました。
もともとサンゴの成長や維持を目的に作られたもので、紫外線が必要な無脊椎動物(特にミドリイシ)には不可欠でした。当時メタハラの効果がサンゴに現れているのなら、ハ虫類にも代用が効くのではないかと言う単純な発想で、製作を依頼してみました。
開発段階では、反射板の角度やガラスの透過率、器具自体の性能などかなりの問題点を見つけ出しご苦労されていたみたいです。
初めてプロトタイプ試作初号機(これは今でもお店で大事に使っています。)が出来上がってきた時に生体に使うのがどきどきした事を今でも覚えています。私が知る限り日本ではハ虫類専用メタハラの登場はここから始まりました。

メタハラ効果の検証
メタハラが生体に対する影響をいろいろ検証する中で、色々と面白いことが解りました。
まず最初にリクガメに使用すると、照射数分後にほとんどのカメ達がばたばた動き出し明らかに嫌がっているように見えました。その後少したってからカメを持ち上げて見てみるとほとんどのカメが涙を流しており、これは目を保護する為に涙腺が開いた状態であるようにみうけられました。
ミズガメの場合は皆がこぞってメタハラ直下に集まってきてリクガメの様な結果にはなりませんでしたが、涙腺は開き目の下に乾いた塩の結晶は見られる個体もいました。
トカゲの場合はミズガメとほぼ同じ結果でしたが涙腺の開きは見受けられませんでした。
こういった事からハ虫類専用メタハラは光の波長と強さが重要である事が解り再び改善と言う形になりました。

球の選択
メタハラの球にはそれぞれケルビンで表される波長があります。
6500ケルビンや10000ケルビン、17000ケルビンといったように様々で、これは日常生活で言うと、午前中、日中、午後とすべて光の波長を示します。
ハ虫類飼育で一番適していたのが10000ケルビンの波長でした。他のケルビンでは暗すぎたり、生体への効果(代謝機能への影響など)があまり感じられなかったり、また色の見た目も悪かったりと言う事で、日中の太陽光に一番近く、UVBが一番照射されるのが10000ケルビンであると言う事になりました。

紫外線
紫外線には2種類存在します。UVBとUVAと言うのを良く耳にしますが、爬虫類飼育で重要になってくるのがUVBになります。UVBとは280ナノメートルから320ナノメートルまでの領域を示します。320ナノメートルから400ナノメートルまでがUVAの領域になります。そこから750ナノメートルぐらいまでが私達が普段目に見える光の強さになり、それ以上が赤外線の領域になります。UVBとはUVAに比べ弱く、生き物(人間を含む)の表皮にのみ浸透します。人間で言えば日焼けで皮膚が赤くなるのはこのUVBの影響です。UVAは強いので皮下まで浸透し人の場合、シミなどを引き起こす原因にもなり、しいては皮膚癌なども誘発する事があります。これらの紫外線と言うものが日中活動する生き物には必要不可欠であることを理解しないといけません。

光強度の比較
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ワット数による違い
ハ虫類専用メタハラには20W、70W、150W、250Wなどがあります。
20WはUVAは照射されていますが、UVBはほとんど照射されていません。紫外線をあまり必要としない生体など(カメレオンや小型ハ虫類)には有効です。
70Wは現在発売されているメタハラでは一番流通量の多いタイプで、このワット数からUVBは確実に照射が可能です。ほぼ全てのハ虫類に有効で安定した結果を得ることができます。
150Wは主に砂漠に生息しているようなタイプのトカゲ類に有効で、このワット数から真下へ対する放熱性が出てきます。手をかざしていると熱くて我慢できません。
250Wは主に部屋などを全体的に照射する場合などに有効です。動物園などの広いスペースで使われているのがこのクラスです。

反射板の選択
メタハラを覆う反射板は光の拡散や局部照射を目的としたパーツです。これが意外に重要で鏡のような眩しい物は強くなりすぎるようで、たたきの入った拡散タイプがハ虫類飼育には向いているようです。

耐熱強化ガラス
安全面からメタハラの前面には耐熱強化ガラスがつけられています。この一見普通のガラスに見えますが、ガラスの粒子により紫外線の透過率が違います。ほとんどのガラスはUVをカットしてしまいます。しかしハ虫類専用メタハラはUVカットガラスでは意味がありません。通常カットガラスを使っていてもUVAは透過していますが、必要なUVBは透過しません。これを透過率の格段に良いガラスを使用することで器具としての品質の向上をはかりUVBの照射を可能にしています。透過率の良い耐熱強化ガラスがハ虫類専用メタハラには重要です。

生体への影響
リクガメの場合
ビタミンD3がカルシウムの吸収を促進させる働きがあります。このビタミンD3は生体の皮膚中にあるコレステロールにUVBがあたる事により生成されます。したがってUVBの照射が絶対的に必要であると言う事が言えます。メタハラの照射によりこのメカニズムの円滑な流れを作る事が可能で、リクガメ飼育にはかなり有効です。これが円滑に行なわれない場合、新陳代謝の促進も進まず、自分の体重を支えられなくなりクル病(足を引きずったりする症状)を引き起こしたりします。見た目で判断できる影響としては甲羅のツヤが良くなったり餌の食べる量が増えたりもし、成長速度にも影響すると思われます。小さな個体(ベビーなど)の間に紫外線をちゃんと照射してあげるかでその後の成長も大きく変わってくるものだと思います。
ミズガメの場合
バスキング作業を行なう間、メタハラ照射により甲羅表面に付着した雑菌を死滅させる効果があります。成長段階で脱皮を繰り返し大きくなるタイプのミズガメなどには古い甲羅を剥がすのに紫外線照射が有効に働き、紫外線を甲羅に受けることにより新旧の甲羅の剥離剤として活躍します。多くの飼育下のミズガメがこの多重甲板に陥っている恐れがあります。これらの働きはほぼUVAの効果だと思われるので、ミズガメには20Wも有効に活用できると思います。
トカゲの場合
肉食傾向の強いトカゲは紫外線を膨大に必要とします。これは脱皮の促進はもちろんの事、餌の消化スピードの向上が目的になっている様に思います。新陳代謝を急激に促進させる為に長時間紫外線に当たり続けるのでしょう。温度を必要とする為、20Wなどは使わず70Wかそれ以上が効果的です。色彩もメタハラ照射個体とそうでない個体とでは全く違った色合いになります。本来持っている色の色素がより鮮明に活性化されるのでしょう。草食傾向のトカゲの場合はリクガメの場合と全く同じ様な見方でいいと思います。肉食の物に比べこちらの方が紫外線の影響重要度が上がるのは、植物から体を形成する全ての物を補給しなくてはいけない事などからも解ります。トカゲの場合は大きさや種類により20Wから150Wまで全般的に使えます。
ヘビの場合
一般的にはメタハラの照射はしなくても育ちます。しかし日中活動するヘビなどは例外的にバスキングする種(ベーレンパイソンなど)がいるのも事実です。学術的にヘビに紫外線が必要か否かと言う問題は結論付けがなされていないみたいですが、どっちにしても照射することにより新陳代謝はあがるものとおもわれます。飼育下でベーレンパイソンなどは確かにバスキングをします。体温上昇目的で太陽の光にあたる事を考えればメタハラ照射を完全否定はできないと思います。

メタハラのデメリット
メタルハライドランプは精密機器になります。生体のメンテナンスや管理の場合、霧吹きなどによる水分の浸入などは故障の原因になります。また設置場所の湿度などが高すぎる事でも故障は起こります。要するに水関連には弱いと言うことです。その他弱点といえば電源のタコアシ状態では故障が起こりやすいのもあげられます。これは突入電流が大きいメタハラにとって分岐器具の方が耐えられない事によるものです。予想不可能な故障の原因として過去に落雷によるものがありました。メタハラに限らず精密機器全てに言えるデメリットがメタハラにも同じように言う事が出来ます。

総括
メタルハライドランプの登場はハ虫類飼育には革命的なものだと思います。今まで飼育が困難だった生体が長期飼育可能な世界になりました。悪影響が少なくより良い環境の再現には欠かせないアイテムだと思います。魚を飼育するのに必要なろ過器と同じぐらいにメタハラは爬虫類には無くてはならないぐらいの存在になっていますが、ただこれは使った人にしかわからない器具です。いくら文章を羅列したところで伝えきれるものではありません。紫外線を必要としているハ虫類を飼育しておられる方は是非一度ご使用をお考え下さい。何がいいかが理解できると思います。

事故事例報告
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これらはの画像はメタハラを直接市販のタイマーにセットした時に起こった出火例です。接続した部分にスパークが起こっているのが確認できます。幸い火事にはなりませんでしたが、この様な事が原因で起こる火事は年間かなりの数ありますが、メタハラが原因での火事はまだありません。この様な事を起こさない為にもタイマー使用時は突入電流キャッチャーを接続させる様にしましょう。またタコ足配線もできる限りさけ、直接コンセントから電気をとる様心がけた方がいいですね。 
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by kanrep | 2009-03-28 23:14 | メタハラの必要性


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