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第39章、レイテヤマガメ・・・偽名返上、パラワンカワガメ!として生きる。
第39章、レイテヤマガメ・・・偽名返上、パラワンカワガメ!として生きる。_b0079508_14204241.jpg
幻とまで言われていた種の入荷が数年前にあった。それがこのレイテと言われる亀です。初めて日本に来てその実物を見、そして名前と照らし合わせるとどうもしっくりいかない問題がその時ふと頭の中に浮かびました。それは現存するヤマガメとはその容姿が全く違ういで立ちをしていたからです。本来ヤマガメに特質する様な特徴がこのレイテヤマガメと言われる種には全くもって存在しないのです。どう見てもヤマガメとは程遠く、むしろカワガメやドロガメに近い特徴を多く兼ね備えていました。手足の水かきや、生活習慣、大きさ、色とその多くは水中生活を示唆したものばかりです。ならなぜこんな和名が付いてきているのか?ここには大きな陰謀の様な実話が秘められていた事に私達は踊らされていたのです。

 当時国内への入荷がほぼ皆無に等しかったこの種は、高額で販売できる新たなる種として輸入者の間ではある密約がなされていました。それは生息場所の隠ぺいです。絶対に他の業者にはこの種の正確な情報を流さない。ビジネスとしては基本的な話なんですが、それが生き物の世界でも起こっていたと言う確かな事実を皮肉な事にもこの種は伝える事になってしまいました。そしてその隠ぺい工作にあげられたのが名前の変更でした。頭に産地が付く生き物は様々いますが、ここでもその産地偽装を行う事により他の業者の介入を防いでいたようです。要するにレイテには存在しない亀をレイテに生息している様に思わせておけばみなこの種がほしければレイテに向かうという単純な話です。またジャングルの山の中にいるからヤマガメでいいんじゃない?的な単純発想だった事でしょう。これらの人的理由により歪められた種こそがこのレイテヤマガメの歴史でもあります。

 レイテヤマガメとはどこに生息しているのか?実はフィリピンの島々の中でも名高いパラワン島のみ、もしくはその周辺部に生息すると言われています。レイテ島とパラワンではかなり離れてしまっていますね。これを加味し、その容姿や習性を考え新たに命名するとしたら、パラワンカワガメ、もしくはパラワンホワイトネックタートル、はたまた日本的に言えば、白輪ドロガメみたいなどっかの問屋の社長みたいな名前がふさわしいと思います。ここでは一番オーソドックスにパラワンカワガメ(パラワン島の川や沼にいる水ガメ)という意味合いで使っていきたいと思います。このパラワンカワガメとはどんな亀なんでしょうか?次にこのカメの飼育下での様子を少し書きたいと思います。

 パラワンカワガメはそんなに大型になる水ガメではありません。ボルネオ島に生息するボルネオカワガメはかなり大きくなりますがこの種はあれに比べるとかなり中型種だと思われます。ワイルド個体の入荷を見ていると個体の腹甲などに鉄分を含んだアクの付着が見受けられる事から、大きな大河では無く、むしろその支流やそのまた支流への流れ込みに近く、流れの緩やかな場所が生息場所としては想像できます。この様な場所では水質は軟水傾向になりやすいので、日本の水質で水カビや皮膚炎になりやすいと言う事とも一致します。泳ぎはあまり上手ではないと言うのも水深の浅い所を生息地にしていると言う証かもしれません。これはどちらかと言うとドロガメよりな感覚です。食性も基本的に雑食性で餌付けば何でも食べる傾向にあります。これら全ての事をふまえ結論付けると、パラワンカワガメは、カワガメとドロガメの中間的な存在であると言うのが私の見解です。しかしながら本格的な学術的調査はまだまだ行われておりませんので、研究者達の今後の調査で詳しい生態も明らかになっていく事を期待します。

 この様なパラワンカワガメですが大きな特質すべき特徴が1つ存在します。それは首に入る白いリング模様です。これは一体何の為にあるんでしょうか?
                    
                    結論から言えばわかりません。
 
でもそれでは面白くないんでここからは私の想像です。以前このカメを飼育している時のお話をします。初めてこのカメが入荷してきた当時は何を食べ、どの様に飼育するのか分かりませんでした。そこで色んな事を試しました。ヤマガメの様に飼育しワームやコオロギを与えたり、水ガメの様に飼育し、赤虫や魚、フードを与えたり、とまぁ様々な事を行いました。落ち着いてくると色んな物を食す様になったある時、水槽の中でぼーと首を伸ばしている亀の首を小さな餌の小赤(金魚)がツンツンしているのを見かけた事があります。ツンツンする度に微妙に首が出たり引っ込んだりしているのを見ていると、その白い輪はまるで生きているなんかの虫の様にも見えなくは無かった事を覚えています。それを見て、もしかしたらあの白い輪はワニガメと同じような仕事をする為の柄かも!と思いました。水中であの鮮やかなホワイトラインを思わせる物って、他の生き物からすると水の中に落ちた虫の様に見えてもおかしくはないですよね。真実ももちろん存在し、重要な事ですが生き物飼育の中ではこんな想像も必要ではないでしょうか!皆さんもいろいろ想像し考えてみてはどうでしょうか!

 この様な複雑な経緯を持つパラワンカワガメですが、入荷量は未だに多くはありません。また希少性も大量入荷した一時期を除いては、今また再び上がっていきつつある種であると言う事は間違いありません。フィリピンと言う独特の生体系が生み出したこの独特の進化は、自分にとっては想像力を膨らますには有り余る種となっています。一度アダルトサイズのペアで繁殖までやってみたいと常に考えてはいるんですがその種親を揃えるのが難しい。でもいつか揃えてまだ分からない事を自分なりに考え追求してみたいと思っています。完成されていない飼育学は生涯のテーマだと思っていますので・・・。
by kanrep | 2010-04-02 14:21 | 私的バイブル集
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