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第37章、アルマジロトカゲ・・・荒野の鎧武者!ファイナルデスライン!
 アルマジロトカゲを最初に見たとき、なんて理想的な蜥蜴なんだろう!と思ったのは私だけでは無いはずです。最大サイズが小さく、外見は全身棘に覆われて、一見甲冑をまとった戦国武将を思わせるような容姿は爬虫類マニアにとって胸躍るほど興奮するところです。そんなアルマジロトカゲは、おおよそ飼育も容易で、あまり深く考える事無く初心者でも飼育が可能と言われていますが、はたしてそうなんでしょうか?ここではそんなアルマジロトカゲの知られざる飼育中の出来事を紹介していこうと思います。

 アルマジロトカゲは、アフリカの乾燥した荒野に生息し、岩場などが点在する場所に家族で集団生活をしている事で知られています。そんなアルマジロトカゲを長期飼育をしている間に一番よく起こる事例が、指や尻尾の欠損と言うのがまず一つ挙げられます。これは通常ケージ内は保温器具などで温度を上げる為、乾燥させすぎが原因で起こるのですが、アフリカの乾燥地帯に生息しているにもかかわらずなぜそんな事が起こってしまうのかと言うところが飼育者の一番大きな疑問でしょう。しかし自然環境の中でアルマジロのすみかでもあるシェルター内、つまり岩場や土の中になりますが、そこではおおよそ20%から30%の湿度が常に存在します。これは外気が高く中が低いと言う温度差により起こる事なんですが、これによりアルマジロトカゲの体には常に湿度が保たれ、飼育下で起こる様な欠損などが起こらないと言う事なのでしょう。この事を頭に入れて飼育環境を見直す事が必要になります。シェルター設置場所内に一握りのミズゴケを入れてあげる事や、素焼きの上に水が入るタイプのシェルターにしてあげるのも効果的でしょう。また厚めに土をひき低層を濡らしてやるのも一つの方法です。これら色々なオリジナリティーを駆使して乾燥地帯のシェルター内の再現が重要な要素の一つになると思います。

 次に考えなくてはならない要素の一つが、ダニに対する問題です。アフリカから来る爬虫類にはよく大きなマダニがついてくる事があります。通常このマダニは大きさゆえに人の目にも目視が可能で、1匹1匹除去する事が可能なんですが、アルマジロトカゲにはこのマダニの寄生は過去見受けられません。ただ国内で見受けられるゴマダニなどをはじめとする小型のダニの寄生は事例として存在します。この国内のダニ感染の場合、鎧に覆われたアルマジロは発見が困難でほぼ目視は不可能なので、ダニに寄生され、体液を吸収されだしてからの発見がほとんどです。そして寄生された患部が大きくはれ上がる事で初めて目視が可能になります。他の爬虫類ではこの寄生部を中心にはれ上がると言う事はあまり無いのですが、アルマジロトカゲの場合はおそらくダニの微毒に対する抗体、又は免疫力が少ないのでしょう。この様な事例を防ぐために飼育直後からバポナなどを使用しダニ対策を行っておく事が重要必要だと思います。

 飼育が簡単であると言われる要素の一つに何でもよく食べると言う事があげられます。これが一番の曲者で、それゆえに死に至らしめる事も多々あります。小さな体のこのトカゲは本来アフリカの荒野ではそれほど多くのエサを捕食する事はできません。それを飼育環境下で食べるだけのエサを与えると何が起こるか?そう蓄積しきれないたんぱく質は脂肪となって体内を覆い尽くします。これにより小さなアルマジロは内臓器官を圧迫され突然死んでしまうのです。この様なかわいそうな事例を引き起こさない為にもエサの頻度を考え、飼育する事が重要になってきます。アルマジロトカゲの場合下腹部に最初の脂肪の蓄積が見受けられますので、大方は腸閉塞を引き起こすものと思われます。飼育者はこの事例は重く受け止めて現状の飼育スタイルを一考するのもいいかと思います。

 アルマジロトカゲの生活の中で次に重要要素としてあげられるのが、紫外線です。今ではメタハラなどの器具によりその問題も解決はできているのですが、ここで言っておきたい事は、照射時間についてです。飼育されている方は感じておられると思いますが、他のトカゲに比べバスキング時間はごく短いと思います。これは小型のトカゲの特質でバスキング=危険と言う認識が存在する事により起こります。固い角質に覆われているトカゲでも体が小さい事で紫外線の吸収率は他のトカゲよりも早い事は想像できます。したがってメタハラ照射を行う場合は空中温度をより高く設定し瞬時に吸収できるようにしてあげるのが良いでしょう。この様な環境下ではメタハラの照射時間を短くすると言う事が重要要素になり、この事がアルマジロトカゲの新陳代謝機能を最大限発揮できる方法と思われます。逆に言えば、だらだらと長時間照射していても効果が無いと言う事です。

 先に述べた紫外線の吸収力や代謝の向上を可能にするには、昼夜の温度差が重要にもなります。あげる時はより高く、下げる時はより低くを大前提にしなければアルマジロの代謝機能は最大限発揮できないと考えた方がいいでしょう。これを可能にする事により、前途した様なたんぱく質の分解速度や紫外線吸収率、免疫力の向上と全てが機能するのだと感じます。行動範囲の少ない生き物ゆえに動きの中でカロリー消化が促進されない生き物はこれら全ての要素が重要なのでしょう。

 まだまだこのアルマジロトカゲの飼育に関する検証はしていかなくてはいけませんが、簡単の中にある落とし穴がいくつか存在する事は確かです。実際アルマジロトカゲを飼育されている方もいくつもの理由で死に至らしめてしまった方も存在します。それら一つ一つの事例を考えた時、完全完璧な飼育方法は無いのだと言う事を飼育者は気付かされる事になります。が、しかしそれでもなおこのトカゲの魅力に惹かれるのは私だけではないと思います。理想的なスタイルは爬虫類というよりもむしろミクロな怪獣とさえ思わされます。これは飼育者にしか許されない至福なのでしょう。皆さんにも、場所を取らない理想的かつ、簡単怪獣リザードの世界を一度お勧めします。

 PS・・・アルマジロトカゲで有名な尾を噛んで丸くなるスタイルについてですが、これはアルマジロトカゲが死を感じた瞬間発動する最後の手段です。体は丸くなる事でその外殻は釣針の返しの様な働きをし、のみ込まれる事を防ぎます。よって飼育下でこのスタイルを目撃すると言う事はそれだけアルマジロに外的ストレスを与えていると言う事になりますので好ましくありません。お気を付けください。通常はダッシュでねぐらに戻るのが身を守る手段です。アルマジロの体はこの最後の瞬間の為の構造だとも言えますね。まさに生か死かをつかさどるポーズなのです!極力この最終兵器を出さないようにしてあげないといけませんね!
by kanrep | 2010-03-08 12:03 | 私的バイブル集
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