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第30章エメラルドツリーモニター。Varanus prasinus
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誰が見ても美しく、女性的なモニターがこのエメラルドツリーモニターです。
丈夫で飼育しやすく小型であると言う事で人気がありますが、その辺はどうなのでしょう。
以前もうだいぶ古い話になりますが数多くのエメラルドツリーモニターを飼育している頃の話です。ワイルドのアダルト個体を購入し飼育していましたが、飼えば飼うほど痩せていく個体が何頭もいました。今思えばこれは体内寄生虫によるものだと思いますが、もう一つたちの悪いのが病理的にお腹が赤く変色している個体が数頭いたと言う事でした。その頃はワイルドだから仕方が無いとか、抗生物質を飲ませなさいとかアドバイスをもらって、それを仕方なく受け入れていましたが、このツリーモニターと言う仲間のお腹に赤みが出る症状は今では絶対に買ってはいけないものであり、感染を防ぐ為にも必ず隔離しなくてはいけないものであると言うのがその時の飼育でわかりました。これが少しでも発病しているとほぼ治りません。すぐには死なないし、気づきにくい場合が多いですが、これは間違いなく広がります。また感染する可能性も非常に高いと思います。これらの事は販売店や販売主が事前に気をつけないといけない事なので買い手としては一番気をつけた方がいい項目になります。
先にこんな事を書きましたがそれを除けば前途したように飼いやすいモニターには違いありません。状態の良し悪しの見分け方もこの様な色彩がはっきりしている物はわかりやすく、体調が優れない物はすぐに色の変化として現れます。まばゆいばかりのエメラルド色ではなくどこか色あせたイメージで人間の目には映ると思います。飼育されている方もこの辺の事を考えながら一度見てみることをお勧めします。
エメツリモニターは言うまでも無く樹上性で体が細いうえ運動量も多いので新陳代謝が他のモニターよりも早いと思います。これは逆にいうとそれだけしっかりとした設備投資をして温度、湿度、紫外線量などをちゃんと考えてあげないといけないと言う事です。飼育下でもアダルト個体などはほぼ一日中メタハラの下でバスキングしている個体も見受けられます。よほど他の地上性モニターよりも紫外線の必要性があるのでしょう。肉などの動物性たんぱく質を飼育下ではピンクマウスなどで補ってやる事はできますが、本来昆虫食が中心でマウスと言ったものなどにはなかなかありつけない代物で、体を形成(骨格形成)するのも紫外線に頼らざるを得ないのかもしれませんね。ちなみにツリーモニターは地上のマウスよりも木の上にある鳥の巣のヒナを食べているとおもいます。以前入荷してきたツリーモニターの糞の中に鳥の羽が含まれていました。こんなことからもツリーモニターの食生活が想像できますが、実際問題としてエメツリモニターにピンクマウスばかり与えていると脂肪肝やメタボリックなどで内臓圧迫死などの事例も数多く実例として存在します。体の細い物にはそれなりの給餌方法があると言うことです。
そんなエメラルドツリーモニターですが、ここからはあくまで全く根拠の無いお話です。 入荷してきたエメツリの中でも特に面白いタイプなのでこんな時こそバイブル集に書いておきたいと思います。
通常の個体との違いは頭部形状から始まり角質の違い、柄など色々な角度で見てもこの個体はなかなかパターンにあてはまりません。一番の違いは私的にやはり目の後ろから耳の後ろに広がる唐草模様と喉のライン(正確にいうと黒い小さなスポットの集合体)です。何頭見てもエメツリにも無い特徴なので不思議でたまりません。
もしかすると今回のターコイズブルーの色合いは個体差として、新たなツリーモニターの存在があるのかもしれないと言う事を想像させてくれます。と言うよりは新種であってほしいと言う願望を持たせてくれます。種とするならば同じ柄の個体がいるはずなのですがね。しかし過去この柄は見たことはないのですが、同じような色合いの個体は数頭国内に入荷した事があります。
エメラルドツリーモニターであるとするならば、柄の変異はもしかすると交雑種である可能性が高いのかもしれません。実際、アメリカではブルーマジックXエメツリなどのクロス個体がブリードで出ている事から、自然下でも何かしらの種類と混血になる確率はゼロではないですし、そう言う意味合いでは納得できますよね。交雑種では新種にならないのでクロス個体が新種になるにはまだまだ時間と調査が必要です。
どちらにしても毎年いろいろな新しい生体の情報が入る中、このターコイズブルーに輝くエメラルドツリーモニターも新情報としてこれからの入荷に大いに役立ちます。本来ならば研究機関で調査してもらうのが一番いいのかもしれませんが、この個体には色々な夢をのせて自分自身で飼育観察していきたい生態のひとつです。アダルト個体になればまた新たに面白い事が発見できるかもしれません。その時まで少し夢の時間を楽しみましょう!
エメラルドツリーモニターでこれだけ深く考え、再考させてくれたこんな個体の存在はエメラルドツリーモニターのこれからの可能性を教えてくれているのかもしれません。ひときわ派手な原色の色合いを持つモニターなんてやっぱり飼育している人はちょっとおしゃれですよね。青にも負けない自然の美しさの原点がこのモニターには存在する気がします。
by kanrep | 2009-03-29 00:38 | 私的バイブル集
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